バーチャル彼氏
家の中だけで教えられる情報だけで、充分と言えば充分だ。


外出先で向日葵を起動させて……なんてことはあんまりしたくない。


やっぱり、はたから見たらかなり奇妙だもん。


そんな事を考えながら歩いていると、お目当ての店についた。


お店の外観は、こげ茶色を貴重としていて、窓の内側から『OPIN』の看板がかけられている。


扉を開けると、カランカランと、心地よい音が響いた。


店内はやっぱりこげ茶色を貴重としているけれど、テーブルクロスは柔らかなピンク色で統一されていた。


イスのクッションはハート型で、かなり乙女チックだ。


私たち2人は開いている適当な席に座り、お姉ちゃんは大盛りのチョコレートパフェ、私はチーズケーキを注文した。


「可愛いねぇ」


店の天井からぶら下がるシャンデリアに見とれてしまう。


普通は透明で、ダイヤのようなカタチをしているけれど、このお店のシャンデリアは透き通るピンク色にハート型。


どうやら、ピンクのハートがお店の特徴らしい。


ポケーッと店内に見惚れていると、可愛いエプロンをつけた女の人がパフェとケーキを運んで着てくれた。


「ってか、デカっ!!」


ドンッと置かれたチョコレートパフェに目を丸くする私とお姉ちゃん。


さすがに、これを1人で食べきるのは無理がある。


「どうせあんたも食べるでしょ?」
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