バーチャル彼氏
そう聞かれると、私はすぐさま頷いた。


高校3年生で、もうすぐ部活引退の私は、とにかく毎日、いつでもお腹をすかせている状態だった。


だって、悔いのないように思いっきり走り回らないと、落ち着いて受験勉強なんてできないよ。


ちなみに、行きたい大学も決まっている。


お姉ちゃんと同じ、『桜ヶ丘大学』。


この辺りじゃ一番の名門大学。


だから、大好きなバドミントンをスパッと切って、これからは勉強に専念するんだ。


まぁ、頭のいい清美お姉ちゃんが家庭教師としてついてくれるって言うから、たぶん問題はないんだけど。


「ねぇ泉」


パフェをようやく半分ほど食べ終えたところで、お姉ちゃんに呼ばれた。


「なに?」


口の中のチョコレートを紅茶で流し込み、聞く。


「今日は持ってきてないの?」

「なにを?」


「向日葵」


その言葉に、一瞬ドキッとして、それから赤面した。


別に、ゲームを持ってきたか? って聞かれただけなのに、なんでこんなに照れなきゃなんないの?
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