バーチャル彼氏
「これ? これはチーズケーキよ」


「チーズケーキ インプットしました」


続けて、


「それは食べ物ですね? 味は甘いですか? 辛いですか? すっぱいですか?」


「えっと……甘いよ」


「インプットしました」


なんだか、今日は向日葵の方が積極的な気がする。


「泉が口に運んでる姿で『食べ物』って認識したのよ。でも、味がわからないから質問したんだと思うわ」


お姉ちゃんの言葉に、私は頷く。


しかし、次の瞬間――。


「泉、愛してるよ」


不意に言われたそのセリフに、危うく口の中のケーキを吹き出してしまうところだった。


「うぐっ……げほっ!!」


グッと我慢したせいでケーキが喉につまり、目を白黒させる。


そんな私を見て、涼しそうに微笑む向日葵。


「ほら、たかが『愛してる』くらいでそんなに同様してどうするのよ」


と、お姉ちゃんは苦笑気味。


たかがって……。
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