バーチャル彼氏
「泉どうしたの? 赤くなったり青くなったり」


「別に、なんでもない」


と、お姉ちゃんにはそう言ったのだけれど――「泉? 顔色悪いよ?」向日葵にそういわれて心配そうな眼差しをむけられたら――。


鼻血寸前。


「だ、だ、だだだ大丈夫っ!!」


噛み噛みでそう言い、スッと視線をそらす。


少し目を細め、私の顔を下から見上げるようにして見つめる向日葵。


「そうだ、せっかくだからカレカノ記念にどこか行ってきたら?」


ポンッと手を打ち、一言そう言うお姉ちゃん。


へぁ?


カレカノ記念って……私と向日葵の、だよね?


「あ、丁度水族館のチケットが……」


そう言い、わざとらしくバッグから水族館のチケットを一枚取り出す。


「なっ……えっ……はぁ?」


お姉ちゃんは私にズイッとチケットを押し付けたかと思うと、次の瞬間には伝票を手に立ち上がり、さっさと店を出て行ってしまった。


取り残された、私と向日葵……。
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