バーチャル彼氏
そぉっと自動ドアを通り――「いらっしゃいませ」受付らしき場所にいる、水族館らしくブルーの制服を着た女の人が出迎えてくれた。


「あ……どうも」


予想外。


普通の水族館だ。


「チケットはこちらで購入してください」


と、隣の機械を指差す。


「あ、あります」


私はついさっきお姉ちゃんからもらったチケットを取り出した。


「はい。1名様ですね」


「あ……はい」


しまった。


水族館なんで超デートスポットに1人とは……。


きっと、受付の人は心の中で笑ってるんだ……。



なんてブルーな気持ちに突入しかけた時だった。


「では、バーチャル彼氏を起動してください」


「はい?」


思わぬ言葉に、聞き返す。


「バーチャル彼氏、お持ちじゃないですか?」


「え、いや、あの。ありますけど……」


「では、それを起動してから、中へお入りください」


バーチャル彼氏を起動してから……?


わけがわからないまま、私は向日葵を起動させる。


「また会ったね、泉」
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