バーチャル彼氏
「表情が、硬いよ?」


「え……?」


まるで、心を見透かすような言葉に、一瞬ドキッとする。


向日葵、もしかしてエマとの出来事のことを言ってる――?


でも、顔には出ていなかったハズだ。


お姉ちゃんも、お母さんも、誰も気付かなかったし……。


「泉、おいで」


向日葵が手まねきするので、私はそっと向日葵へ近づいた。


すると……。


向日葵の手が、そっと私の頬を包み込んだ。


光がまぶしくて、私は目を細める。


コツン……。


実際は当たっていないけれど、向日葵が私のおでこに自分のおでこを当ててきた。


きゅぅん……。


至近距離でもまぶしくないように、光が弱まる。


「なにか、あった?」


「……ないよ、なんにも」
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