バーチャル彼氏
眉間にシワを寄せてピクピクと眉を痙攣させつつも、心の中で肯定する。


つぅか、あんたと比べたらどんな子だって『モテない』部類に入ると思うけどっ!!


今度はキーッとサルみたいに歯をむき出しにして怒る。


コロコロと変わる私の顔に、エマはプッとふいた。


「モテないから、なんなのよ」


「別に……」


クククッと、まだ笑いをこらえている。


「バーチャル彼氏にしか相手にされないあなたに、ちょっとしたサプライズを用意しましたの」


は……?


キョトンとして、エマを見つめる私。


その、次の瞬間。


急に後ろから口をふさがれ、「うぐっ!!」と、言葉に詰まる。


その力はハンパではなく、必死に手をほどこうとするが、ビクともしない。


すると、エマはすぐ近くにあった使われていない、古ぼけた倉庫の扉をあけた。


さびているのか、ガタガタと音を立てながら扉が開く。


そして――。
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