バーチャル彼氏
「あんま、声あげんな」


その声に、ビクッと体を跳ねさせ、カチコチに固まって動けなくなる。


口を塞がれているため、フーッフーッと徐々に鼻息が荒くなってくる。


それに気付いて、口を塞いでいた男はそっと手の力を緩めた。


それと同時に、暗闇のそこら辺から「シーッ」と、私に黙れ、という合図が出る。


な、なに?


わけがわからず、マットの上で1人混乱する。


「あんまうるさいと、エマ、また戻ってくるから」


「へ……?」


だんだん、暗闇に目が慣れてくる。


その場にいる男たちは私に手を出す素振りもみせず、タバコに火をつけたり、携帯電話をいじっていたりする。


どういう事……?


「安心しろよ。俺らだって女1人無理矢理どうこうしようなんて思ってねぇから」


と、私の口を塞いでいた1人が笑って言った。


その顔はほのかな明かりに照らし出される。
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