バーチャル彼氏
☆☆☆

「ふぁ~! 疲れた」


買い物から帰った私はそんなだらしない声と共に、ベッドへ身を投げ出した。


なんだか、とても疲れる1日だ。


今までの――向日葵と出会う前までの――平凡な日々は嘘のよう。


なんだかんだ、毎日イベントが起こっている気がする。


こんな時は――。


私はベッドに寝転んだまま目だけカバンを見た。


やっぱり、向日葵の笑顔かな。


なんて思って、ノッソリと体を起こす。


本当は精神的にひどくくたびれて、すぐにでも寝たかった。


でも、私の手は向日葵を起動させていたんだ。


「こんにちは、泉」


いつもの笑顔を見せてくれて、ホッとする。


心が安らぐ瞬間、っていうのかな。


肩の力が抜ける。


「こんにちは、向日葵」


向日葵の声って、低くて澄んでて、胸に心地よく響くんだ。
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