バーチャル彼氏
驚く私に、清美お姉ちゃんは笑う。


「結局、相手は人間だもの。納得いくまで会話を続ければ、問題は解決するのよ」


「でも、それって面倒じゃないの?」


「最初はね? でも、その壁を乗り越えたあとは、暗黙の了解ってものも出来る。今は2人とも、わざわざ口にしなくても色々と理解してくれるようになったわ」


だからか。


お姉ちゃんの、嬉しそうな笑顔の理由。


「で……もさ、話せない事とかは、どうするの?」


私は、また向日葵の事を思い出す。


あんなに、依存しないようにって気をつけてたのに。


「それは、相手を信頼してない証拠よ」


「え――?」


ドキン。


心臓が跳ね上がる。


「バーチャル彼氏と言っても、相手は『彼氏』なのよ? 会話を続ける内に信頼関係も生まれるようにインプットされてるわ。だから、後はプレイする側が心を開くかどうかで、ゲームも変化していくわ」


「変化って……?」


「例えば、パソコンゲームなんかであるバッドエンドに進む場合もある。カップル不成立で強制的にゲームを終了されたり、喧嘩別れもあるわ」
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