バーチャル彼氏
「もし、向日葵にも心を開けないなら――本物の彼氏が出来ても、心を開けないって事だよ」


ゆっくりとそう言うお姉ちゃん。


ゆっくり、優しくなんだけど、胸に突き刺さってくる。


そうだよね……。


向日葵はバーチャル彼氏。


ゲームの彼に遠慮することなんて、なにもないハズなんだ。


「わかった……。ありがとう」


私が小さく言うと、お姉ちゃんが「頑張れ」という言葉を残し、ルイとレイを連れて散歩に行った。


信頼か――。


あんなに心配してくれたって事は、向日葵は私を信頼しててくれたのかな?


だから、『どうして僕に嘘をつくの?』あの言葉の意味。


今なら、わかるかもしれない――。
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