Stargazer
「どういったご用件ですか?」
ボンド中佐を見つめると、夜空を見上げていた彼は、初めて私の方を見た。その顔はどこか緊張しているように思える。部下に何か言うのに緊張する必要があるのだろうか。
「実はさ、この戦争が終わったら軍人をやめようと思ってる」
ボンド中佐の言葉に私は「えっ?」と驚く。軍人の家系に生まれたからには、戦場で華々しく散る。それが彼の家に伝わる家訓ではないのだろうか。そんなことを、彼のご両親が許すはずがない。
「中佐、何故やめるおつもりなのですか?」
「優しさを知りたいから、かな」
大きくボンド中佐が息を吐くと、白い息が切なく消えていく。空は変わらず綺麗で、でも、私はボンド中佐しか見ることができなかった。
「軍人になってからさ、ずっと考えていた。どうして同じ人同士なのに争わなきゃいけないのか、命って尊くてお金で取り返したりできないものなのに、どうして一つしかない命を賭けてまで戦わなきゃいけないのか、それが未だに理解できない。どんなに強くなっても、人として大切な優しさを忘れてしまえば、俺たちはただの人殺しなんだ!」
ボンド中佐を見つめると、夜空を見上げていた彼は、初めて私の方を見た。その顔はどこか緊張しているように思える。部下に何か言うのに緊張する必要があるのだろうか。
「実はさ、この戦争が終わったら軍人をやめようと思ってる」
ボンド中佐の言葉に私は「えっ?」と驚く。軍人の家系に生まれたからには、戦場で華々しく散る。それが彼の家に伝わる家訓ではないのだろうか。そんなことを、彼のご両親が許すはずがない。
「中佐、何故やめるおつもりなのですか?」
「優しさを知りたいから、かな」
大きくボンド中佐が息を吐くと、白い息が切なく消えていく。空は変わらず綺麗で、でも、私はボンド中佐しか見ることができなかった。
「軍人になってからさ、ずっと考えていた。どうして同じ人同士なのに争わなきゃいけないのか、命って尊くてお金で取り返したりできないものなのに、どうして一つしかない命を賭けてまで戦わなきゃいけないのか、それが未だに理解できない。どんなに強くなっても、人として大切な優しさを忘れてしまえば、俺たちはただの人殺しなんだ!」