Stargazer

「人、殺し……」

初めて言われた言葉に胸が重くなる。戦いの最中、トリガーを引き、ナイフを取り出し、多くの人を傷付けてきた。殺めてきた。でもそれは、この国を、世界を、平和にするためで……。

「俺たちが命を奪ってしまった人たちにだって、愛する人がいて、帰りを待ってくれている人たちがいるんだ。その人たちが敵に殺されたと知ったら、どう思うと思う？敵を許せなくて、憎くて、悲しくて、また争いの連鎖が生まれる。武力で全てを押し付けるなんてもう嫌なんだ！強さと優しさで世界中を平等にしたい、これが俺の気持ちなんだよ」

ボンド中佐の言葉が脳内に記憶されていく。こんな風に言う軍人を、私は知らない。軍人でなくても見たことがない。こんな争い合うのが普通の世の中で、平和的に解決したいなんて言うのは、きっとボンド中佐だけだ。

「君にも、一緒に軍をやめて来てほしい。一緒に世界を変えてほしい。だって俺は、君を愛してるから。初めて会ったその時から、ずっと君を見ていたから。だから、俺と一緒になってくれ」