Stargazer
「綾瀬(あやせ)が、生徒会長だからって頑張ってるのは一番わかってるよ。でも、頑張りすぎて壊れないか心配なんだよ。それにさっき、「男みたいな女」って言ってたけど、俺から見れば綾瀬は可愛い女の子なんだよ!もっと自分のことを大事にして、自分の気持ちに気付けよ、この馬鹿女」

言いながら、鈴木の顔はどんどん赤くなっていく。こんな言葉を言われるの初めてで、何て返したらいいのか、どうしたらいいのか、全くわからない。ただ、掴まれた手と顔が熱い。

自分のこと、そういえばずっと考えてこなかった気がする。辛いとか、休みたいとか、そう思ってもみんなのために頑張らなきゃって思ってて、それが当たり前になっていたんだ。

「……頼ってもいいのかな?」

「もっと頼れ、馬鹿女」

頭に乱暴に手を置かれ、泣き出しそうになる。ぼやける目を乱暴に拭い、「髪ぐしゃぐしゃになるから!」と鈴木の手を振り払う。

「ほら、帰るぞ」

鈴木に言われて立ち上がる。外に出れば、夏の星座であるさそり座が綺麗に見えた。

「綺麗……」

空を見ていると、横から視線を感じる。鈴木が赤い頬をしながらあたしを見ていた。

「帰りが遅くなる時は、これから送ってやるよ」

「ありがと……」

夏の空の下、あたしの中で甘酸っぱい恋が始まった。



アンタレス(さそり座のα星)の星言葉
「内面を見つめる瞳」
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