異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「そうそう、移動時間にでもと思ってコレをたくさん買ってきたんだ」


 ガサゴソとA4サイズの紙袋から総介さんが取り出したのはCDケース。それも一枚じゃない。ぱっと見五枚以上はある。


「総介さんそれなんですか?」


「あぁ、これかい。ネットでレビューを観ながら買ったんだが胎教にいいらしいよ」


 赤ちゃんとお母さんの為のクラシック、胎教にいいジャス音楽、赤ちゃんもお母さんも安らぐオルゴール……す、凄い。


「気が早いと分かっていてもついベビー用品とか見てしまうんだよね。真緒の聞きたいものから聞こう」


「え、でも車の中で音楽は聞かないんですよね?」


 いつも総介さんの車内は無音でお互いの声がよく聞こえる。


「今日は俺が運転じゃないからね、長谷いいだろう?」


「大丈夫ですよ。私は音楽はこれといって興味がないので」


「そうなんだよ、だから出張先でもコンサートとかには付き合ってくれないんだよなぁ。でもそのおかげであの日真緒に出会えたのかもね」


 あの日は出張で長谷さんも一緒だったのか。本当あの日たまたま私が旅行に行って、たまたま総介さんが一人でオペラを見にきていなかったら出会えてなかったんだもんなぁ。運命とは本当に奇跡だ。


 総介さんの選んでくれたCDの中から赤ちゃんとお母さんの為のクラシックを選んで流してもらった。穏やかな曲が車内に流れ、なんだか眠気を誘ってくる。妊娠してから凄く眠くて部屋で寝落ちているこも何度があった。
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