異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 彼女の熱が俺に近づいてくる気配を感じ、視線を戻すと目の前に彼女の姿があった。真っ赤な顔で瞳を潤ませながら俺を見つめてくる。


「……あの、押さえなくていいです」


 ゆっくりと俺の膝の上に腰を下ろして来た。
 絞り出したようなか細い声。ちょこんと俺の膝の上に収まる身体は綿のように軽く、あまりの予想外な出来事に一瞬思考が停止してしまった。膝丈のドレスから伸びる彼女の足は無駄な肉がなくスラリとしていて綺麗で吸い付きたくなる。


「お、美味しくないかもしれないけど、た、食べちゃってください……」


 子猫のように身体を丸めフルフル震える姿が妙にそそる。けれどここは自分は年上だし、彼女の事を思ってさりげなく断るのが紳士的だろう。この貴族が住んでいるような部屋にも合っている振る舞いだ。頭ではそう思っている。けれど真一文字にキュッと絞めている唇を開いて中に入っていきたい。可愛らしい姿だけではなく彼女の官能的な姿も見てみたい……
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