異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「じゃあ、い、いただきます?」


「ふふ、お、美味しくないかもしれないけど、召し上がってくれたら嬉しいです」


 見つめ合いながら微笑み合い、震える彼女を優しく抱きしめる。きっと勇気を振り絞って俺を誘ってくれたに違いない。何十秒抱きしめていたかはわからない。俺の膝の上にすっぽりと収まってしまう小さくて柔らかい身体、ゆっくりと彼女の赤ワインのように綺麗に染まった頬に手を添え顔を近づけていく。彼女の吐息からはほんのりアルコールの匂い、重なり合った唇は同じワインの味が絡み合った。


「ん、……そ、総介さん……」


 キスの合間から漏れる声と蕩けた表情はどんな楽器よりも麗しく、虜になる。
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