異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「ねぇ、なんか物凄くオーラのあるイケメンと眼鏡イケメンがドアの所に立ってるんだけど見学かな?」


 普段私語を話しかけてこない絵里さんが顔を寄せ小声で話しかけてくる。普段からチラホラ見学者が来てはドアの所で楽団の様子や演奏を見学していくのできっとそうだろう。にしてもイケメン二人組が見学に来るなんて滅多にない事だ。きっと楽団の皆んなも気づいてソワソワしているに違いない。


(ドアの所にイケメンってどんだけイケメンなんだろう?)


 ドアの位置は私の右斜め後ろだ。普段私は前列に座っているのでドアまでは距離がある。あまり振り向いて見ても良くない気がしてチラッと横目で見ると確かにスーツ姿の男性二人組が見えたが少ししか見ていないので顔まで認識できなかった。でも今の私にはどんなにイケメンだろうが多分惹かれる事はないだろう。自分から誘って、逃げたくせに彼の事が、総介さんの事が私は忘れられていない。忘れられない。
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