異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
私の一歩手前をゆっくりと歩く総介さん。
「あのっ、総介さん何でここに?」
「もちろん真緒に会いに来たんだよ。言っただろう、もう君を離さないと」
「え……」
その時しのぎの言葉だと思っていた。まさか本気だっただなんて……
「外に車を待たせてるから」
校舎を出ると私の住んでいる田舎の風景にそぐわない、暗い闇の中でもハッキリと分かる黒光した高級車が止まっている。運転席にはスーツの男性、もしかして見学していたスーツのイケメン二人って総介さんとこの人のことなの?
「さぁ、乗って、話す事がたくさんあるよ。君の忘れ物も預かっているからね」
「忘れ物?」
「あぁ、そうだよ。とりあえず乗りなさい」
こんな高級車に乗るなんて初めてだ。皮張りのシートは見た目と違って柔らかく、なりより広い、そして良い匂いがする。車内は広いにも関わらず何故か私の隣にピッタリとくっついて座る彼。肩がぶつかるとかの距離じゃない。抱き寄せるように腰に手を回され私から離れる事は不可能だ。なんだか大事に包み込まれているような錯覚に陥ってしまいそう……
運転手に「出して」と彼が一言言うと「かしこまりました」と車がゆっくりと動き出す。やっぱり総介さんはお金持ちなのだろうか、何故そんな人がまた私の目の前に現れてくれたんだろう。