異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜

 社長とは総介さんの事を言っているのだろうか? 運転手付きの車、豪華なスイートルーム、余裕のある貫禄。ことごとく社長という言葉が似合う物ばかりだ。もしそうだとしたらますます私は彼とは不釣り合いだと打ち付けられた。。ただの高卒上がりの一般庶民なのだから。
 ゆっくりとスピードを落とした車は闇の中に止まった。どこなのだろうか。あまり地理に詳しくない私にはどこに向かっていたのかさえ分からなかった。それなのに車に乗ってノコノコついてきてしまっている自分って……でも総介さんのことは信じている。好きの一言が言えないくせに彼の事を信じているなんて私は残酷な女なのかもしれない。
 彼の手が離れ手のひらに残ったバレッタをバックにしまう。バレッタが熱を持って温かい。
 ガチャリとドアが開けられ外に出ると冷たい風が身体を通り抜けた。少ししょっぱい匂いと水の音。
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