異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
「真緒、砂浜は足を取られやすいから手を貸して。ほら、おいで」


 どうしてこうも総介さんは私の気持ちにすぐに気づき、汲み取ってくれるのだろう。差し出してくれた手に素直に伸ばせない私の手をスッと優しく引っ張り出してくれた。
 温かな手のひらに包まれた自分の手はみるみるうちに温度が上昇して行く。
 よく手の冷たい人の方が心が優しいと言うけれどそんな事は無いと思う。まだ出会って二回目の私がそう思うのもおかしい話かもしれないけれど、そう思ってしまうのだ。どうしようもなく彼に惹かれている。


 けれどやっぱり気になってしまう。


「あの、総介さんってどこかの会社の社長さんか何かなんですか? 運転していた人が社長と総介さんの事を呼んでいた気がして」


 とんでもない大金持ちの人だったらどうしよう。


「ん、あぁ。真緒が泊まっていたグローリーホテルの経営者だよ。だから悪いと思いながら職権乱用して真緒の住所を確認してそこから地元の楽団を探してって、結構大変だったから一週間もかかってしまったよ。それ程に俺は真緒にもう一度会いたかったんだって分かってくれるかい?」


「ぐ、グローリーホテルの経営者……やっぱり総介さんは凄い方だったんですね」
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