異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜
 私が泊まったブラックグローリーホテルは各国にホテルを構える大手のホテル会社だ。その数は知れた物じゃない。ウィーンはもちろんニューヨークやハワイ、パリにランドンや日本にも確か東京と北海道、京都にもブラックグローリーホテルがあったはずだ。そのホテルの経営者、つまり社長と言うことは自分とは桁違いの人だったという事。

 やっぱりあの日逃げて正解だったんだ。
 どうして追いかけてくるの。
 どうして好きだと言うの。
 こんなにも不釣り合いな私なのに。

 きっと付き合ったとしてもこんな年下の私はお荷物にしかならないだろう。彼の幸せを願うなら今ここで断ち切らなければ。
 あの日ウィーンで素敵な思い出を貰えたから、あの時だけでも愛してもらえたから充分だ。


「真緒、君は何か考え過ぎていないかい? 俺は一人の男として君の事が好きなんだ。もし俺が社長だから、とか考えているならそれは少し悲しい。俺は一人の男として真緒に見てもらいたい。一人の男として真緒と一緒にいたいんだよ」
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