異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜

重くのしかかる言葉と音

「真緒、出掛けるの？」


　病弱な母はベットに伏せながらお洒落をしている私に問い掛けてきた。
　母と私の二人暮らし、シングルマザーの母はなにかと心配性だ。母が子を心配するのは至って普通のことだとは思う。けれど私の母は度が過ぎると思う。もう二十歳すぎた大人の私の行動全てが気になるらしい。その心配性がエスカレートしてしまったがゆえに去年鬱病を発症した。今はやっと症状が軽くなり一人でスーパーぐらいなら行けるようになった。
　心配性な母に一人で海外旅行に行きたいと言った時は「絶対に駄目！」と最初は泣き叫ばれたが私もずっとお金を少しずつ貯めて夢見て来た海外旅行。タイミングを見計らって何度もお願いをしたら旅行中は毎日連絡することでやっと折り合いがついのだ。