異国の地での濃密一夜。〜スパダリホテル王は身籠り妻への溺愛が止まらない〜

　総介さんの私服は私の好みにドストライクだった。黒のパンツに白のシャツ、その上にネイビーの五部袖ジャケットを羽織っている。
　艶めいた黒髪が太陽の光に照らされて少し茶色がかっていてとても綺麗。つい手を伸ばして触りたくなってしまうほど。
　ウィーンの時も、この前の海の時も夜だったので昼間にこうして総介さんの姿を見るのは初めてだ。笑った時にできる目尻の皺までもはっきり見える。


「真緒、久しぶりだね。会いたかった」


　挨拶代わりのような軽いハグをされ、それだけで私は嬉しくて心臓もドクンと飛び跳ねている。


「お、お久しぶりです」


　緊張でしっかりと総介さんの顔が見られない。


「ウィーンでの綺麗なドレスも素敵だったが、今日の服装もいいね。シンプルだけど華やかで、君に似合っているよ。あぁ、だけど先週のラフな格好も俺は好きだったな」


　スルリと頬に彼の手が伸びてきた。撫でるようにフェイスラインをつたい優しく手のひらで頬を包み込まれる。
　私を見る総介さんの瞳はいつだって穏やかで優しい。唯一ギラついた男の目をしていたのは忘れられない、あの一夜だけ。