純愛不倫の恋
「そうは言ってもね。宴会だって人間関係を円滑に保つ重要な役割があるんだよ」
「タバコ臭くてエッチなおじさま達の相手をするのが重要なのね」
「君はすぐにそういう言い方をする」

 わざわざ倉庫からカオールを持ってきてもらった店員さんに、丁寧にお礼を言って、会計を済ませた。

 今日はわたしの部屋で、ふたりだけのささやかなパーティめいたものをする約束だった。彼は忘れているが、今日はふたりの記念日である。たとえそれが、わたしだけが覚えている思い出だったとしても、わたしにとっては大事な宝物なのだ。

 お店を出ると彼がスマホで誰かと話していた。わたしは離れた場所でワインのラベルを眺めながら通話が終わるのを待つ。

 でも、しばらく経って電話を終えた彼の困った顔を見て心が沈んだ。
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