純愛不倫の恋
 不倫。わたしたちの関係を世間常識的な一般の言葉で表現するならその二文字で事足りる。そして周囲から孤立させるような響きのするその単語には“背徳”とか“不潔”などというマイナスのイメージしかない。

 でも、そうと分かっているなら誰がそんな恋を選択するだろうか。わたしだってそんなつもりはなかった。好きになった、誰よりもたまらなく好きになってしまった相手が既婚者だった。ただそれだけだ。

 大学を出たばかりで世間知らずだったわたし。就職した会社でなかなか仕事に慣れず、失敗続きで落ち込んでいたわたしを優しくサポートしてくれて折れそうな気持ちを支えてくれた・・上司。それがわたしの恋の相手。

 いくら本人の恋心が純粋なものでも、世間的にはよくある珍しくもない不倫エピソードに過ぎない。これが自分のことじゃなく誰かから聞かされた話だったら、ありきたりすぎて聴く気にもならなかったに違いない。
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