眠り王子の専属抱き枕になりました!?
───でも、なんだか心地よい・・・。

入学式の時は皆の視線が気になってそれどころではなかったけれど、誰かの体温や鼓動を感じるのって気持ちいいのかもしれない。相手が寝ているからドキドキも最高潮(マックス)というほどではないし。

綿星くんの腕の中にいる私の耳に陸上部のかけ声や吹奏楽部の演奏、演劇部の発声練習など放課後の音色達が届く。勉強でいっぱいいっぱいな私は部活に入る余裕がなくて、青春の音楽を奏でている皆を眩しく思っていた。

───今の私、放課後の風景のひとつになれてるかな?や、誰かに見られたら困るんだけど・・・。


誰かが来ないか辺りを警戒しながらも15分くらいそのままでいた。

───そろそろ行かなくちゃ・・・でも離れてくれないしどうしよう。声をかける?それとも足は唯一自由に動けるからつま先で綿星くんの足をトントンしてみる?
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