眠り王子の専属抱き枕になりました!?
翌日、綿星くんは中間テスト対策のまとめノートを作ってきてくれた。戸惑う私の机にノートを置くと『お返しとかいらないから。』と言って颯爽と去っていったのだ。

無駄がなくわかりやすいそのノートのお陰で、一学期の期末テストの時は182人中138位だった私の順位は一気に62位まで跳ね上がり、先生も親もそして誰より私が驚いて、喜んだ。

綿星くんのお陰だとは言えないでいるとお母さんは塾にお礼の電話を入れ、田舎のおばあちゃんにまで電話で報告していた。『咲穂(さほ)ならできると思ってた。次はもっと上がるんじゃない?』───成績がよくなくても私を叱ったりするような人ではないけれど、そんな風に喜ぶお母さんの顔を見ていたら、次のテストではもっといい点をとりたいと切実に思うようになった。

それに二年生から最難関理系クラスに進む為には成績をもっと上げる必要がある。自分には到底無理だと思っていたそのクラスへの進級が夢ではなくなっていた。

私は意を決して放課後の教室に向かった。
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