眠り王子の専属抱き枕になりました!?
眠り王子の正体
夢の中に出てきた綿星くんは『何も言わずにいなくなってごめん。合格おめでとう。卒業も。』と私を強く抱きしめてくれた。

場所は私の部屋だったけれど、夢に違いない。だって彼は私の家を知らないし、夜中にこんなところにいるわけがない。

綿星くんに会えた喜びから思わず抱きしめ返す。夢だから大胆になれた。私の方から抱きしめるのは初めてのことで、彼の体の厚みや背中の骨の感触を知る。夢なのに温もりも鼓動もリアルに感じられた。夢でも綿星くんに会えてよかった、と思う。

するとそんな私の心の声が聞こえたかのように綿星くんは『これは夢じゃないんだ。見てて。』と言った。
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