眠り王子の専属抱き枕になりました!?
「褒美?」

「3年間、人として生きられる権利。どうしても咲穂に会いたくて、それを得る為に頑張ったんだ。」

「え・・・私に?」

「うん。会えてすごく嬉しかった。でもどうやって距離を縮めていいのかわからなかったんだ。人間のことは何でも勉強してきて、どうやって仲良くなればいいのかはわかってた。それで皆と仲良くやっていくことは出来たけど、一番心を通わせたい人とはなかなかうまくいかなくて・・・全てが勉強通りにはいかないものなんだな。」

綿星くんはしゅんとした様子で俯いた。彼が私のことをそんなにも想ってくれていたなんて夢みたいな話だ。やはり夢の中にいるのかもしれない。

「俺が人間の世界で生きることは体に負担がかかる。でも、抱き枕を抱いて眠ると回復するんだ。抱き枕じゃなくてもぬいぐるみでも人でもなんでもいい。自分にとって心地の良い───好きな───ものなら。」
< 55 / 73 >

この作品をシェア

pagetop