眠り王子の専属抱き枕になりました!?
「大丈夫。記憶を失くしたら、寂しい気持ちもなくなって晴れやかな気持ちで大学生活を始めることができる。それで数年後、獣医になるんだ。咲穂なら立派な獣医になってたくさんの動物達を救える。俺、ちゃんと見守ってるから。」

綿星くんはそう言って私の髪を優しく撫でてくれた。彼が髪に触れたのは初めてのことだ。

「・・・本当はずっとこうしてみたかった。」

そう言って髪に優しくキスをしてくれた。頭皮に綿星くんの体温が伝わる。私の肩を枕にしていた入学式の日、彼の頭皮にも私の体温が伝わっていたのだろう。

毎週水曜日、綿星くんのベッドの上で『おやすみ。』の言葉を交わすと、その瞬間から言葉ではない気持ちの会話が始まった。夢の世界にいる間もずっと私の体と心はあなたの温もりに包まれていたんだ。
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