眠り王子の専属抱き枕になりました!?
「綿星くん!?」

長らくぼんやりと曇っていた頭の中が雲ひとつない青空のようにすっきりと晴れたようだった。まるで高校の入学式のあの青空のように。呼びかけても反応はなかったけれど、その視線に力がこもったように感じた。

「先生・・・?これ、バクとは違いますよね?輸入が許可されていない動物とか、遺伝子操作で出来たとかでしょうか?」

困惑する看護師に、私は生まれて一番であろう大きな声で言った。

「今、私達がすべきことは目の前にある命を救うことだけです!この動物が何であるかとかどこから来たかなんてことは関係ありません!急いで準備してください!」

「は、はい!」

私の剣幕に看護師は驚いたようだが、迅速に処置の準備を進めてくれた。
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