眠り王子の専属抱き枕になりました!?
八百屋の店主に手伝ってもらいつつ獏───綿星くんを運びながら呟く。彼は既に目を閉じていた。

「今度こそ絶対に助ける!・・・この手で。」

自分の手を見る。夢だった獣医となった私の手。この手は綿星くんのお陰で手にしたものだ。そして今は彼を救う為にここにある。

大学入試の日にしたようにその手をぐっと握る。あの日この手に握りしめたゆめかわカラーのネックレスは仕事中はバッグにしまっているので、今手元にはない。けれどあの日のようにみるみる自信がみなぎってくるようだった。
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