クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


 それから一時間ほどして、柊哉が起きて階下に降りて来た。

「おはよう。」

「おはようございます。」

いつも通りの挨拶を家政婦の田辺と交わしたが、彼女の様子がおかしい。
目元が赤く、料理する手もぎこちない。

いつもダイニングテーブルに置いてある新聞が無いのに気がついた。

柊哉は自分で取りに行こうと立ち上がった。

「そういえば、今朝方車の音がしたようだが…。」
「…さようでございますか…。」

取り付く島もない程、そっけない田辺の応対だ。

ゆっくり玄関から出て、門のところにある新聞受けに行くと
いつも閉まっているはずの門が開いていた。

『やはり、今朝早くに車が入ったんだ…』


誰が?理江か?

まさか、和優に何か?


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