クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
急いで屋内に戻ると、田辺に問い質した。
「田辺さん、和優に何かあったのか?体調が悪くなったとか?」
「いえ…。」
田辺は柊哉と目を合わせない。
柊哉は慌てて二階の和優の部屋に向かった。
主寝室の隣が和優の部屋だと聞いていたが、入るのは初めてだ。
ノックしたが返事が無い。
もう一度ノックした。それからドアを開けて中に入った。
主寝室の半分くらいの広さの部屋だろうか。
元は書庫だったのかもしれない。
壁一面が膨大な量の本だ。全て、和優の本なのか?
その反対側に、ベッドと机が置いてある。
ドレッサーが無ければとても若い女性の部屋とは思えないだろう。
もう一つあるドアの向こうがクローゼットだろうか。
ベッドには人が寝ていた形跡が無い。きれいにカバーがかかったままだ。
昨夜、確かに和優はこの家にいた。自分が帰宅した時、出迎えてくれたではないか。
いつになく、嬉しそうな明るい雰囲気を感じた。
何か良い事でもあったのかと思っていたのだが…。
机の上にメモが置いてあるのが目に留まった。