クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす



「まさか…。お前が何か和優に言ったのか?」

「さあ、何の事かしら?」

理江は薄笑いを浮かべている。

「金子…。母が君の父親に世話になったと言うから、ここに泊めていたが…
 もう我慢の限界だ。今日中に出て行ってくれ。」

「何ですって?」

「出て行くんだ!今!直ぐに!」


「何よ、就職が決まるまでここにいても良いって言ったじゃない!」


「どうせ、就職活動もせず遊んでいたんだろう。東京だからって、
 そんなに簡単に仕事が見つかる訳がない。さっさと佐渡に帰れ!」


「ふん、ケチな男ね。いいわ。出て行くわよ。
 予定より早く追い出される慰謝料よ。お金は返さないわ。」


一部始終を見ていてた田辺は、唖然とするばかりだった。


「残念ねえ。奥さん、チョッと突いたら出て行っちゃったのね。
 あなたってお金はあるけど、愛されてなかったのね。お気の毒さま。」


捨てセリフを残して、理江は本間家から出て行った。



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