クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「和優…。」
「柊哉さん。どうしてここに?」
「心配していた。」
「台風の事ね。今、お店の備えが終わったところです。」
「君の事が、心配だったんだ!」
「えっ?」
「夫が妻を心配するのは当たり前だろう。」
「妻って…。そんな…私…。」
和優は混乱していた。
愛人が大切で、家にまで連れて来た人が何を言ってるんだろう。
「あなたは、理江さんと子供を作りたいんじゃないの?」
「まさか!」
「だって、理江さんが…お義母さんに頼まれたって…。」
「あいつ、そんな大嘘を言ったのか…。」
まさに野獣のように柊哉が怒りを見せた。
台風が接近しているというのに、ここにも嵐がきた様だ。
突然目の前で修羅場が始まってしまい、水口家の面々は固まってしまった。
何が何だかわからないが、和優と夫の話は深刻そうだ。
「とにかく、うちに帰ってから話そう。和優ちゃん。」
「あ、妙子さん。ごめんなさい。」
その時、一段と強い風が通りを吹き抜けた。
「危ない!」