クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
幸いな事に救急病院はすぐ近くにあった。
和優の手当ては、トリアージでも危険と判断されたのか優先的に行われた。
すぐに処置が行われ、貧血の検査や心電図検査も行われたが
ケガの後、病院に来るのが早かったので大事には至らなかった。
個室に移された和優は、点滴を受けると薬のせいか眠っている。
「良かった…。」
廊下の椅子に、男二人は並んで座った。
妙に親近感があった。和優の事を想う気持ちは同じだからか。
「本間さんが来て下さって助かりました。ありがとうございます。」
「いや、こっちこそ、和優の面倒を見てくれた君の家族に感謝している。」
面映ゆい気持ちで、涼真は柊哉を見た。
「ご存じだったんですか?」
「妻に関わる事だ。一応、知っている。」
「僕と和優ちゃんの関係も?」
「ああ。」
「ボクのバイトの事も?」
「ああ…。あれか。」
「毎週、和優ちゃんが何してたかも?」
「ああ、そうだな。」
淡々と事実だけを話す柊哉の態度に、若い涼真は苛立ってきた。
「じゃあ、何で彼女をほったらかしてたんですか!」