クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
華やかなステージは、いつ見ても心が躍る。
別世界の様な煌びやかなレビューを見て、男役の美しさにときめいた後、
和優と友梨亜は歌劇場近くのホテルで食事を取る事にした。
「はあ~。いつ見てもステキだわあ~。」
「ゆりちゃんは中学の頃から大ファンだったものね。」
「小さい頃、祖母と母に連れられて見に行ってから親子三代でファンなの。」
友梨亜は蕩けそうな表情で、ファン歴の長さを誇らしそうに語る。
生え抜きのファンならではの矜持だろう。
愛らしい顔が、ヅカファンとして語る時だけはキリっと引き締まる。
「いいお席で見られて良かったわ。お母様によろしくお伝えしてね。」
料理をウエイターに注文すると、友梨亜が声を落として聞いてきた。
「それより…。私達、少し前に大学時代のお友達と夜遊びしたでしょ。」
「ええ…。真理子の誕生パーティーだったかしら?」
ひと月程前の事だ。友梨亜の友人達が集まるパーティーに和優も呼ばれたのだ。
「あの後、ご主人に叱られなかった?」
「別に?」
「ああ、良かった!私なんて、宏輔に物凄く叱られたのよ。」
高遠ホテルに勤めている里見宏輔と友梨亜は、学生の頃から交際していた。
和優が友梨亜を紹介したので、二人は付き合い始めた経緯がある。
「皆で食事の後、ホストクラブに行ったでしょ。」
さらに声を潜めて友梨亜が言った。