クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


 柊哉が逞しいのには理由があった。
彼は佐渡島の出身で、亡くなった父親は逞しい海の男だった。
今も母親は漁師や釣り客相手の民宿を営んでいる。

父は寡黙な男で、いつも黙々と働いていた。
逆に母親はお喋り好きの陽気な女で、民宿を訪れる漁師や観光客とすぐに仲良くなっていた。

父親が亡くなってからは、母の手伝いや魚市場の雑用といった
力仕事をしながら柊哉は育ってきたのだ。

たまたま成績が良かったのとコンピューターに興味があった事が幸いして
東京の大学へ給付奨学金を得て進むことが出来た。

だが、仕送りは期待出来なかったので生活費は自分で稼いだ。
夜間の工事現場や早朝の市場など、力仕事を率先してバイトに選んだのだ。

それが、現在の逞しい身体を作り上げたのだろう。
ジムで鍛えた筋肉とはひと味違う、頑強な肉体だ。

柊哉はバイトで思った以上にお金を得ると、それを少しづつ投資に回した。
お陰で、学生時代にコンピューター好きの友人達と起業する事も出来た。

ゲームソフトを開発して稼いだ資金を使い、企業向けのソフトを考案する。
その繰り返しで『HONNMA』は大きくなってきたのだ。




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