クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
『たしか、寝室は二階だったな…。』
柊哉は冷たいシャワーを浴びて欲を冷ますと、階段をそっと上がった。
常夜灯の薄明りだけで、数か月ぶりに夫婦の寝室に入る。
『ああ、ここだ。』
ダブルベットが置かれた寝室は掃除が行き届いてはいたが、
やはり空気は冷たかった。
何となく和優の気配があるかと期待していた自分が情けない。
この部屋に、和優が眠っていた形跡は無かった。
『何処で寝ているんだろう…。』
もの凄く気になったが、数ある部屋を一つずつ覗くわけにもいかない。
『ダメだ、もう今日は休もう…。』
ダブルベッドが虚しかった。
柊哉は布団の真ん中で、独り大の字になって眠った。