クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


 和優は、初対面の時から柊哉を嫌ってはいない。
逆に、あの野獣の様な男が自分に触れるのを待ち望んでいた気もする。

この胸の手術痕を見せるのは辛いが、生命力溢れるあの人が夫なら
抱かれてみたいと思えるようになっていた。

キスの経験も無い和優だが、男性が自分に触れる事への興味はあった。

だが、現実は残酷だ。

ハネムーンには行かず、ホテルのスイートルームに泊まった初夜。

お気に入りのバラの香りのボディーソープで丹念に身体を洗い
上品だが少しセクシーなナイトウエアを身に付けた和優は、
彼が来るのをドキドキしながらベッドに腰掛けて待っていた。


かなり遅くなって、ほんの少しアルコールの匂いをさせて柊哉が部屋にやってきた。
ベッドに座る和優を見て、彼は言った。

『疲れただろう、早く寝なさい。』

まるで、子供に言う様に。

『君を抱くつもりはない。』

あっさりと、彼は残酷な言葉を和優に告げたのだ。



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