クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
『きっと、私みたいな病弱で一回りも年下なんかに興味が無いんだ。』
その日から、和優は少しでも彼に気に入ってもらえるように努力はした。
大人っぽい服を着てみたり、彼の好物を聞いて作ってみたり…。
だが、意気込むにつれ彼が新居に帰って来る日は、徐々に少なくなった。
きっと自分の存在が鬱陶しいのだろうと、和優は諦めてしまった。
家事は家政婦がいるから殆ど気にしなくていいし、
広い庭の手入れは業者に頼んでいる。
ポツンと松濤の洋館にいるのが辛くて
体調の良い日はふらりと出かけるようになった。
友梨亜も時には誘ってくれるし、都内は時間つぶしに事欠かない。
美術館、コンサート、お芝居や歌舞伎…
病院にも定期的には行くが、今の所は身体に変調は無い。
健康になったのに、する事が無い。
退屈だけが怖くて、予定が入って無いと居たたまれない。
和優にとって、そんな半年だった。
『だから、お別れしよう。』
そう考えても不思議ではないだろう。