クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「おじさん、おばさんお元気かしら?」
「年取ったけど、元気で毎日パンを焼いてるよ。」
水口家は館山で昔からパン屋を営んでいる。
「誰だったかなあ、『アルプスの少女』に出てくる『白パン』が食べたいって…。」
「いたねえ、そんな子!」
「おじさんがわざわざ、塩分控えめで作っ下さったのよね。」
「親父、凝り性だからなあ。」
「でも、皆んなで喜んで頂いたわ。美味しかった!」
和優と涼真にだけ通じる、懐かしい思い出がいくつも蘇ってきた。
懐かしい話は途切れる事が無い。
「よく覚えてたねえ。和優ちゃん、今はどうしてるの?」
「うん、結婚したよ。」