クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす


「はああ?結婚?」
「そうなの。半年くらい前かな?」

「新婚さんが、ホストクラブ?何やってんだか…。」
「そんなコワい目で見ないでよ。ちゃんと理由があって遊んでるんだから…。」

生死にかかわる手術を受けた仲間意識からか、つい本音を言ってしまった。

「理由は聞かないで。私、ホスト遊びが好き(・・)って設定にしてるんだから。」
「ゲームかよ…。意味わかんないんだけど…。」

「私の事より、涼くんまだ未成年でしょ。夜のバイトはダメじゃないの?」
「19歳になったからOKだよ。夜の仕事出来ます!」

「身体の方は…、大丈夫なの?」
「お互い様でしょ、和優。」

涼真は思わず呼び捨てにして彼女をじっと見つめたが、和優は気付かなかった。

「無理しないでね、涼くん。」
「はいはい、和優お姉ちゃん。これからボクの事、ご贔屓にね!」

「こっちこそ、いい共犯者み~つけた!」
「ええええ~。酷いよお。」

アルコールなしで懐かしさに盛り上がっていた二人だが、
周りの目からはそうは見えなかったのだろう。
現に、友梨亜は口をあんぐりと開けてホストと楽しそうに喋る和優を横目で見ていた。

いつも無表情な和優は、ここまで楽しそうな顔を見せた事が無かったのだ。

『宏輔に言っといた方がいいかなあ…。』

いや、和優とホストクラブに言った事を彼に知られたらまた怒られそうだ。
これ以上嫌われたくない。

友梨亜は小さな秘密を抱える事にした。


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