クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
「へえ~、やっぱデパートに買い物しに来るんだな。」
「どうして?」
「すっげえ金持ちなんだろ、ダンナ。」
「知らないわ。」
「へっ?」
「だから、よく知らないの。」
「…和優ちゃん、貴女、ホントに結婚してるの?」
「モチロンよ。」
和優は、涼真に良く見えるように彼に向かって左手を上げた。
確かに、左手の薬指にはダイヤの指輪が輝いている。
「指輪見せられてもねえ…。それより、何を買いに来たの?」
「明日から小旅行みたいなの。何か買っておいた方がいいかなあと思って。」
「ドライブ?」
「さあ…。」
「信じられないな!お前。」
だんだん、涼真の口調が普段のものに変わってきた。
大学生らしい、ぞんざいな物言いだ。
「化粧品を小分けにするものとか…楽な服とか…要るかなと思って。」
「それなら、デパートじゃないだろ。」
「そうなの?」
買い物自体、人に任せる事が多かった和優は戸惑った。
「ついて来いよ。」