クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
和優はSUVの前で戸惑った。スカートではSUV車の高いシートに乗りにくい。
柊哉は困っていた和優に手を貸して、腰から先にシートへ座るよう導いた。
『やっぱり、優しい人だ。』
もしかしたら、彼がエスコート慣れしているだけかもしれない。
でも和優は、彼の見た目の厳つさより、行動の優しさが嬉しかった。
『いけない、気を引き締めなきゃ。これ以上、彼を好きにならないように。』
二人を乗せた車は、心地よく中央自動車道を走った。
北欧デザインのシンプルな内装も力強い走りも、まるで柊哉そのものだ。
2時間もかからずに、甲府の近くまで着いていた。
そこからは田舎道だ。和優のまったく知らない場所を目指して車は走る。