クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
一人になってから、和優はスーツケースを開いて夜着を出した。
今夜は、あの初夜の時ような失敗はしない。
あの夜は、いかにも新婚に相応しいシルクのネグリジェを着てしまった。
レースがふんだんに使われた豪華な物だった。
それなのに、柊哉に抱かれる事も無く独りで眠りについたのだ。
『もう二度と、あんな惨めな想いはしたくない。』
今日持って来ていたのは、コットンのシャツパジャマだ。
男性の目を意識していたら絶対着ない、水色のあっさりとした物だった。
『これなら、平気だわ。誘ってる風でもないし。』
布団に入るには、いつもより随分早い時間だ。
これから二人だけで長い夜が始まるかと思うと少し憂鬱な気分になった。