クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
和優は一泊旅行から帰ると、早速、これからの計画を実行に移した。
麻美にお願いして、暫くは『パンの店』で開かれる教室へ通う事を決めたのだ。
しかも、忙しそうだったカフェのバイトを連れて行く条件で。
毎週土曜日、水口涼真に往復の運転手と
カフェでのバイトの両方の仕事を持ちかけたらすんなりOKをしてくれた。
彼も夜のホストクラブの仕事より、昼間の仕事を増やしたかった様だ。
毎週土曜の朝、涼真の住んでいる学生向けのコーポまでは和優が運転して行き、
そこから甲府までの長距離の運転は涼真に頼んだ。
和優がパン作りを習っている間、涼真はカフェでバイトする。
パン教室が終わってから東京に帰っても、7時くらいまでには家に着くだろう。
何故、こんなにパン作りに関心が湧いたのか和優にもわからない。
以前、入院中に涼真の父がわざわざ作ってくれた白パンの味が忘れられないのか
それとも、篠塚夫妻のパン作りに賭ける情熱に魅かれたのか…。
これが、自立に繋がるとは思っていないが
生まれて初めて、自分でやりたいと思った事に挑戦するのだ。
『わくわくするって、こういう気持ちなのね…』