クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
父の実影は、応接室で和優の帰宅を待っていてくれた。
「お父様、お待たせして申し訳ございません。」
「ああ、和優。久しぶりさね。」
「おっしゃって下さってたら、家におりましたのに。」
「急に和優の顔が見たくなってね…。元気そうで何よりだ。」
「お父様、少しお痩せになった?」
横浜のパーティーで会って以来だが、父は面やつれして見えた。
「ああ、チョッと体調が悪かったんだが…もうすっかり良くなったよ。」
「安心しましたわ。お父様は出張続きとお聞きしてたから久しぶりですものね。」
「今日は、柊哉君は?」
「お仕事だと思いますわ。」
「そうか?」
「たぶん…。」
もし、父が柊哉の予定を知っていたら嘘がバレてしまう。和優は言葉を濁した。
「彼と…上手くいってないのかい?」
「いえ…そんな事ありません。」
「だが、近頃、その…よく出かけてると宏輔から聞いているよ。」